2015年2月16日月曜日

北里研究所病院・安全対策セミナーに行ってきました

2月も中盤ですね、今のところ大雪は降っていませんがまだまだ油断は出来ず・・

さて2月14日に、北里研究所で行われたアメリカンフットボール向けの安全対策セミナーに行ってきました。今年で3回目の取り組みとなるこのセミナーはトレーナー、マネージャー、監督、選手とフットボールに関わる関係者が安全にプレーするために、どのような怪我が多く、発生機序やリスクなどを統計データと共に示し、命に関わるようなシリアスな事故をいかに減らすか?ということを主眼が置かれています。またここで学んだ事をそれぞれがチームに持ち帰り、安全に対する共通認識として高め、広めて行く意図が込められています。

前半はアメフトに関わるスポーツドクターやトレーナーがフットボールで多い頭部外傷、脳震盪、膝関節前十字靱帯損傷について話し、後半はアメフトの道具を管理するイクイップメントマネージャーさんと、元・京都大学アメフト部監督の水野弥一さんの講演でした。トップに話しをされた北里大学の月村先生には2年前の春大会の準決勝時に会場のドクターをされておりチームに怪我人が出た際にとてもお世話になったドクターです。

高校生のトレーナーとしてフットボールの現場に行くようになり、たくさんの外傷を見てきました。それこそ脳震盪や前十字靱帯損傷も目の前でみました。どんなに練習を積んでもコンタクトするフットボールでは外傷の発生をゼロにすることは難しい状況です。だからこそいかに怪我を減らせるか?という部分が大事になってきます。高校生はほぼ2年間、大学生でも3年ちょっとの時間しかフットボールをする時間はありません。

その中で前十字靱帯の損傷はオペをすればフットボールの復帰は可能ですが、脳震盪は場合によっては命に関わる場合があります。大丈夫だと思っても数日経ってから急激に症状が悪化して、そのまま命を落とすような事例も発生しています。


昨年、フィギアスケートの羽生選手が大会の練習中に中国人選手と激突し倒れ込む場面がありました。もうろうとする中で立ち上がり、本人の判断で試合に出て優勝するという姿に感動し拍手を送った人も多かったと思います。が、あれだけの衝撃を受けて転倒し、氷に頭を打ち付けた羽生選手は脳震盪を起こしていた可能性が指摘されています。

もしあの試合中に羽生選手がもう一度転倒して脳震盪になったら、選手生活が終わっていた可能性すらあります。フィギアスケートの現場は怪我をすることを想定していないのか?ドクターがいなかったようですが、サッカーのヘディングや格闘技、スノーボードでも脳震盪が起こる可能性がかなりあります。

フットボールの本場アメリカにはNFLというプロ組織があり、カレッジもかなり人気があり盛り上がっています。が、激しいプレーで脳震盪が多発しており、引退後にシリアスな後遺症(人格荒廃、認知症など)を訴える例が増えていることもあり、リーグをあげて、そしてフットボール界全体で医学的な研究が重ねられておりアメリカでは脳震盪からの復帰プログラムはかなり慎重に行われています。

そしてアメリカで研究されてものが日本フットボールにも報告されて、脳震盪に対するリスクに備えて様々な準備をしています。今回のような啓蒙活動もその一つです。


最後は水野弥一さんの講演でしたが、74歳の水野さんは一切原稿を見ることなく、立ったまま1時間話し続けました。いわゆる昭和の根性フットボールで京大は強くなっていったのですが、そこに裏付けされる人間教育、覚悟について熱く語っておられました。やはり大きな組織を強くしてきた人の言葉は重みが違います。色々な気づきのあるお話でした。

危ないからすべてを禁止するのではなく、統計的なデータに基づいてリスクに備え、対策方法を考える事がフットボール、スポーツ全体が発達して行く道だと思いました。

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