小さな施設を手分けして回る方法と、大きな施設に3人で乗り込む方法と考えましたが、移動にかかる時間や、我々先発部隊2人が先に東京に戻ることを考えると3人が同じ場所でボディーケアを行う方が良いだろうということになり、陸前高田の避難所の中でも規模の大きな市立高田第一中学校に行くことにしました。
高田第一中学校は震災当時からかなりの数の被災者を受け入れており、現在でも100人近くの被災者が生活されています。また隣接している仮設住宅にも相当数の方が生活をしています。
この避難所の優れているところは運営がしっかりしていることです。我々のような飛び込みでの活動も、運営者に話を通すことで快く迎え入れて下さり、実現が可能でした。また過去に様々な方が訪れていることもあり、被災者の皆さんが温かく迎えてくれたことが印象的でした。また陸前高田出身の俳優、村上弘明さんがクーラーを寄付してくださったりと室内の環境も非常に快適でした。
我々が訪れたこの日は歌手の方(かなりの数のCMソングを歌っているらしい)がショーをし、若い理容師が2人が活動していました。
我々3人は空きスペースに寝台を2台、畳のスペースも作り同時に3人がボディーケアを受けられる体制を作りました。
この日は仙台で六魂祭が開催されてたために、避難所にいらっしゃる方は少なかったようです(避難所の方々はバス4台に分乗して仙台に行っていた)そこで例によって声かけを行い、なるべく多くの方にボディーケアを受けていただこうと考えました。また運営者側もマイクを使って「体育館でボディーケアを受けられますので、ぜひ御利用ください」とアナウンスをしてくださいました。
この方の小学校4年生の息子さんは学校ごと避難したが、男の子は立ったまま一夜を明かし、女の子を優先して座らせたそうです。もちろん人が多くて横になるスペースはなかったそうです。(現在も息子さんとは離れて別の避難所で暮らしている)
また市営住宅で生活されている高齢者の方が、家が被害を受けなかったため(自宅で生活可能)に避難所に受け入れてもらえず、さらに支援物資を分けてもらいに行くと被災された方に罵倒され追い返されるような状況だったと聞きました。復興の湯(現地のボランティアで運営されている公衆浴場)でも同じような話を伺いました。
この方から聞いた様々な話はどの雑誌にもテレビにも流れないリアルな話で、改めて陸前高田の津波被害の大きさを感じました。
我々は昼食を用意して乗り込んだのですが、避難所の方が我々の分の食事を用意してくださいました。何度も断ったのですが、「たくさんあるから食べて!」と言われたために、お言葉に甘えていただきました。この日は冷したぬきうどん、大根ときゅうりの一夜漬、オレンジでした。かなり美味しい昼食となりました。ここでの食事は被災されたレストランのシェフの方が中心になって作っているそうです。(朝からずっと仕込みをやっている姿を体育館横で見ました)
昼食時にこの避難所で出合った若いボランティア理容師二人と仲良くなりました。彼らは仕事を辞めて現地に入っていて、この日で11日目でした。カップラーメンを箱で買って日々それを食べながら生活し、福島から北上しながらあちこちの避難所で髪の毛を切って来たそうです。車の中で寝起きをしているため、身体がボロボロだったため、頑張っている彼らにもケアをさせていただきました。(彼らは午後から長部小学校横の公民館にて髪の毛を切っていたので、我々の炊き出しチームが作った昼食を渡しました)
髪の毛を切ることに関してニーズはかなりあるのですが、理容、美容師協会が「無料で髪の毛を切るのはやめてください」と発信したため、もともと第一中学でボランティアをしていた理容師さんは撤退し、有償で出張サービスを行うことにしたそうです。協会としてはお店で髪の毛を切ってお金を使ってくださいということでの発信だと思うのですが、陸前高田市街地の店舗はほとんど流されてしまい、髪の毛を切る場所が実際には無いという矛盾もあります。
午後からは2班に分かれ、2人が高齢者数人が生活している部屋に出張し高齢者とスタッフにボディーケアを行い、体育館に残った自分も数人をケアさせていただきました。そこで話をしてくださった方は「3ヶ月はどうにか我慢できたけれど、4ヶ月経ったら我慢も限界だ」とおっしゃっていました。言葉の通り体はボロボロで疲れが溜まっているのがよくわかりました。やはり皆さん心身ともに疲れています。
この日、合計15人ほどボディーケアさせていただきました。避難所の方々は下半身に疲れが溜まっていた印象でした。避難所の方々は年令を問わず体を動かす習慣が無くなってしまい、運動不足に陥っている方がほとんどでした。勿論生活することで精一杯なので余裕が無いのは容易に想像ができます。物質的な支援も必要ですが、避難所生活が続く場合には運動のプログラムなどのソフト的なサービスの提供ができるような人が必要かもしれません。
今回の活動を通じて現地の方々と接し、復興に向けての支援について色々な課題が見つかりました。避難所は8月ごろにはすべて閉鎖になる予定なので、我々の活動場所の問題、被災した方を支えている方々への支援方法、もちろん被災者の方々への間接的な支援方法など課題は山積です。もちろん、市街地のグランドデザインを含めて地域全体の復興も課題だらけです。またそれぞれが矛盾を含んだ部分などもあるので、支援の方法論については答えは必ずしもひとつではないかもしれません。それでも長期にわたって支援してゆく必要を強く感じたので、今後も可能な限り現地に赴き、自分のできる事をコツコツとしてゆこうと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿